針と糸

なんだか文学作品のタイトルのような感じですね。最近の消化器外科手術では自動吻合器などが広く普及しており、腸などは直接人の手で縫わずに自動吻合器などを用いて縫合します。しかし心臓血管外科の領域ではまだまだ自動吻合器を使いことはほとんどありませんので、手術において適切な針と糸を選択することはとても重要なことです。大動脈の手術ではちょっと大きめの針(15-20mmくらい)に比較的太めの血管縫合糸のついたものを用いて縫います。逆に冠動脈の手術では髪の毛よりも細い糸のついた6mm位の針を用いて縫合します。私は出来るだけ小さい針のものを好んで使用していますが、細かい部分で何がいいかは外科医の好みにもよります。いろいろなメーカーの様々な種類の針と糸、好みもありますが1本2000~4000円位するのでコストも考えなくてはいけません。大切に使っています。医療器材はどれも高額です。心臓血管外科医 菊地慶太