健康のツボ 心臓病について

第12回(平成30年8月23日放送内容)分です

(小高)日本人の死因の第2位となっている「心臓の病気」を中心に、健康と最新医療について専門の先生に教えていただくコーナーです。ゲストは一宮西病院のハートセンター・センター長で、心臓血管外科統括部長の菊地慶太先生です。今日もよろしくお願いします。 (菊地)よろしくお願いします。 (小高)ここ最近は「心臓弁膜症」について伺っています。 (つボイ)前回は手術の方法についてでしたね。 (小高)いくつか方法があるということを教えていただきました。その中で、先生が行っていらっしゃるのは「低侵襲手術」でしたよね? (菊地)はい、「低侵襲心臓手術」、いわゆるMICS(ミックス)と我々は呼んでいます。従来の手術は胸の真ん中の胸骨を大きく切って行います。この方法が悪いというわけではありません。とても確実で良い方法です。ですが、新しい「低侵襲手術」というのは、弁膜症の場合は右胸をだいたい6~8cm切開してそこから治療を行うような方法や、あとは胸骨を部分的に切って一部を温存して小さい傷で行う手術方法なんです。 (小高)でも先生、先週に外科的な手術としては、弁を形成する「形成手術」と、弁を置き換える「人工弁置換術」というのがありますと伺いましたが、どれもそんな小さい穴から治療は出来そうにないんですけど・・・。 (菊地)小さい傷でも実際はできます。ただ全ての患者さんに出来るわけではないんです。やはり病気によっては難しい患者さんもいらっしゃいますけれど、多くの方にこの方法が適応されるんじゃないかなと思います。 (つボイ)なるほど~。 (小高)手術時間なんかは、普通の手術より長くなるんですか? (菊地)そうですね、やはり小さい傷で手術をおこなっていますので若干長くなります。難易度で言うと少し難しくなりますが、熟練の外科医だときちんと手術が出来ると思います。 (小高)狭心症や心筋梗塞のときに伺ったその「低侵襲心臓手術」のときは割りと早く退院できるというとこを伺っていましたが、弁膜症の場合も入院期間は短くなるんですか? (菊地)一週間ぐらいで退院できる方がけっこう多いと思います。 (つボイ)大きく切ったりしない分、体への負担が少ないわけですよね? (菊地)そう信じてやっております。実際には「低侵襲心臓手術」はこれからの医療ですので、例えば大規模な研修で差を明確に出したというものはまだ無いんですけれど、やはり輸血の量が少なかったり退院までの期間が短かったりということが多く報告されています。特に車の運転は、胸骨を大きく切った患者さんの場合は2~3ヶ月は待ってくださいとお願いをしていますが、この「低侵襲心臓手術」の場合は退院して大体2週間くらいで問題なければどうぞとお話をさせていただいております。 (小高)低侵襲手術って器用じゃないと出来ないと思いますけど・・・。 (菊地)器用というよりも、きちんと丁寧に手術をするということ、的確に判断して手術をするということがとても重要だと思います。ですからおそらくこういう治療法というのは、これからどんどんどんどん広がっていくんじゃないかなと思います。 (小高)私、先生が米粒に字とか書いたらめっちゃ上手そう!と思ったんですがそんなことはないんですか? (つボイ)技術を何に使うんですか!? (小高)そういう細かな動きとかが出来るのかな~と思いまして。 (菊地)最近では、一宮西病院でも内視鏡を使った「内視鏡手術」を行っております。さらには、小高さんが行った不整脈の治療も、内視鏡で外科的な手術として我々が行っているんですね。ですからこのような低侵襲の手術はより広まっていくと思います。 (小高)治療ができる範囲もこれからさらに広まっていくんですね。 (菊地)そうですね。 (つボイ)小高さんのように心臓に毛が生えた人でもよろしんですか? (小高)生えていないです! (菊地)毛を避けてね。 (小高)先生も乗らないで!! (菊地)我々、心臓外科医はなるべく多くの人に低侵襲の手術が適用ように努力しております。まずは、早く仕事に復帰したい方や、糖尿病の方は傷のつきが悪いんですが、そういう方にはとても良い適用だと思います。 (小高)この続きはまた来週いろいろと伺っていきたいと思います。ありがとうございました。一宮西病院の菊地慶太先生でした。「健康のつボ~心臓病について~」でした。

一宮西病院 心臓血管外科医 菊地慶太