冠動脈バイパス術の内胸動脈使用について

現在冠動脈バイパス術は両側内胸動脈を用いた方法が長期的に患者さんの予後(生存率)を高めるので良いといわれています。多くのデータがそれを裏付けています。一方でつい先日左内胸動脈を用いたグループと両側内胸動脈を用いたグループでは5年間の生存率などに差がないという報告がありました。

Randomized Trial of Bilateral versus Single Internal-Thoracic-Artery Grafts

David P. Taggart, M.D., Ph.D., Douglas G. Altman, D.Sc., Alastair M. Gray, Ph.D., Belinda Lees, Ph.D., Stephen Gerry, M.Sc., Umberto Benedetto, M.D., and Marcus Flather, M.B., B.S., for the ART November 14, 2016, NEJM

これは両側内胸動脈使用の優位性を強く主張していたTaggart先生たちのグループからの報告です。まだ5年間という中間報告ですし、これまでも多くの論文が両側内胸動脈の優位性を示していますので、すぐに学説が変わるというわけではありません。でもとても興味深く注目しています。IMG_8446心臓血管外科医 菊地慶太